娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

またまた「救急車を呼びたくない人たち」

またぞろ,呼ぶべき救急車を呼ばなかった愚か者たちに関する報道がありました。この事件を少し考えてみます。 今月初め名古屋市内の小学校で,5年男児が顔面を強打して顔の骨を折る大けがをしました。休み時間に教室で友人をおんぶして遊んでいて転び,顔を…

パワハラという「いじめ」

このブログでは何度か「いじめ」について取り上げてきていますが,それらは子供が関わる形で事件化し,報道されたものをもとに書いたものでした。しかし実際の子供間におけるいじめも,子供が自然といじめる行動を取るのではなく,何らかの形で大人の行動か…

虐待という暴力について

このブログでは,身近な場所で起きている暴力について,時々の事件などに関連させたりしながら記してきています。身近な暴力と書きましたが,定義的にはあいまいなので,読んでいただいている方とはとらえ方が違うかもしれません。最近の記述ではスポーツ系…

救急車が呼ばれないことの意味

救急車を呼ばないことによる悲劇がまた起きました。私が娘の事件に対して最初の疑問を持ったのは,頭を殴られて倒れた娘に対して救急車が呼ばれなかったこと,そして事件のことに平然と言い訳を並べ立てる関係者たちの姿勢に対するものからでした。以来,救…

5年目の5月24日

娘が小学生にバットで殴られてから5回目の事件日です。娘は事件翌日に帰郷し,そのまま入院しました。事件後に受診した医師に入院を指示されたようですが,神戸での入院に不安を覚えての帰郷でした。娘は「児童館で子供に,いきなり背後からバットで頭を殴…

暴力スポーツ指導者の排除を

前回掲載した熊本秀岳館高校サッカー部での暴力事件を。取り上げた時期が最初の報道の3日後と早かったのですが,今もメディアでの取り上げが続いている状況なので,便乗してもう一度書きます。 最初の報道は,30代男性コーチによる3年生部員に対する暴力行…

またぞろスポーツで暴力が

またスポーツの現場での暴力が報じられました。最初の報道が4月21日だったので,これからまだまだ報道で取り上げられる機会が続くのでは,と思います。スポーツの,それも高校という教育の場での暴力ですので,少なからぬ課題を抱えた事件と私は受け止めま…

本当に謝罪している?

このブログでは,娘の事件に関連して少年が関係する事件についても時々触れています。そうした目線を持って報道を見ていると,いじめ関連の事件に気付くことが少なくないように思います。いじめ問題は,他人との関わり方の難しさが子供時代から始まることを…

衆目の中での暴力

私は映画が好きで,よく見に行く方だと思っています。米アカデミー賞で久々に話題となった日本映画「ドライブ・マイ・カー」も先月に見ていたので,国際長編映画賞の受賞は嬉しく受け止めています。アクションなどない静かな3時間ほどの作品でしたが,時間…

「ウレタン製バット」と「叩く」が意味するもの

前回,労災の判断に関する疑問を記しました。「労働者災害保険審査官決定書」を読み込む中で気付いたことです。その中の一つとして「災害発生状況」の記載内容,同僚と上司の証言の違いにも触れました。子細については,『やはり「うずくまる」は作為だった…

改めて労災への疑問を整理します

昨秋から娘の診療に関連する労災の判断に対する疑問を綴ってきましたが,経過もあるので一度整理しておきたいと思います。基本的に私は,これまで綴じ込んでおいた娘の事件資料を見返しながら文章を綴っています。労災に関しては労基署が作成した資料から作…

巨大な暴力,戦争

北京五輪が終わったと思ったらウクライナ侵攻。平和から戦争へ。平和のもろさを思います。ひっ迫する不穏な状況の報道は年明けからあったようですし,1年以上前から計画されていた侵攻という報道もありましたが,五輪に浮かれていたので不意に感じました。…

診療記録から抽出する意図

昨秋より,娘の事件に対する労基の判断に対する疑問を折々つづってきましたが,今回もそれに続きます。これらの疑問は,娘に送られた労災に関する「決定書」の写しを見ながら拾っていますが,この中にはこれまで診療を受けてきた病院で作成した資料から作成…

エピソードの中に見えた本音

前回,事件2時間後に受診した最初の脳外科の対応に伴う疑問に記しました。労基署ではこの病院と,この病院から紹介されて当日夜と翌日の2回の聴覚障害を診察した病院との2カ所しか労災の対象としないと決定しました。もちろん私は納得できないのですが,…

事件直後の診察に対する疑問

娘は,事件当日の脳外科・耳鼻科から始まって整形外科・神経科・精神科も受診し,その後やっと脳損傷専門医にたどり着き,現在も治療を続けています。専門医のアドバイスで,身体各所の痛みとの関連性についても冷静に受け止めるようになりました。しかし,…

今年も頑張るだけだな

前回,年が替わることもあり正月は1回休みますと告知しましたが,いざ替わったら使い続けているPCに不具合が発生してしまい,2回も休む羽目になってしまいました。年初から申し訳ありません。これまで160回ほどブログを更新してきましたが,改めてこれま…

脳損傷がなかなか認められないのは

労災に関連する記載を続けます。娘が事件後受けた治療に関連して,頭をバットで殴られたことによる受傷,中でも脳振盪後遺症に関連する治療を労災が認めないことに対する疑問は納得いかないままにあります。これまでも何度か脳振盪後遺症に触れてきましたが…

労基署の対応を振り返って考える

前回,娘の労災に関する「決定書」の記載に,労災医員の恣意的な記載があることを記し,それが労基署担当や労災協力者の事件に対する認識を象徴するものとしました。そこで改めて,労災担当者である労基署の対応について振り返ってみたいと思います。 労災関…

なぜ「軽微な頭部打撲」なのか

娘の事件に伴う労働者災害補償保険,いわゆる労災に関連する内容が不利な方向に動いていることについて,これまでもチラチラ記してきています。これに関連する「決定書」なる資料が,A4版100ページほど,目次だけでも7ページあります。医師による小難しい…

医者と向き合う中で

小2男児にバットで頭を殴られた娘の,その後の治療経過でのことを記します。頭に衝撃を加えられた場合,目に見えない脳の機能不調が何らかの形で体に影響を及ぼすものと私は考えていました。その後の娘の体調と関連する診療状況を見ていると,その考えはあ…

「預かる」と「育てる」の間

娘の事件現場が学童保育であったこともあり,事件以来,子供が集まる施設や制度,いじめなどの問題に対する関心を持つようになりました。そうした関心からの話です。 今年7月,福岡県中間市の保育園で,登園バスの中に取り残された5歳の男の子が熱中症で死…

事件の原因は野球の禁止なのか

加害児童に関する曲げられた説明を考える中で(「加害児童への対応も矮小化されている」),この事件の要因とされた「野球ができない」問題についても改めて振り返っておきたくなりました。いつもどおり,児童館で作成した資料の関連記載を拾っておきます。①…

加害児童への対応も矮小化されている

ここ数回,娘の事件現場がどのように記されているかを再確認してきました。事件現場がどのようにねじ曲げられているのか(「改めて事件現場を考える」,「やはり『うずくまる』は作為だった」),被害者である娘への不適切な対応(「記憶消失の間にあったこ…

記憶消失の間にあったこと

娘の事件現場について,事実をすり替えていたことを記したとおり(「やはり『うずくまる』は作為だった」),事件は出発点から故意に歪められています。今回は,事件の日が終わるまでについて振り返っておきます。 事件2カ月後の2017年7月,児童館指定管理…

やはり「うずくまる」は作為だった

前回,娘の事件現場の真実が偽られていることを記しました。バットで頭を横から殴られた人間が,「倒れ」ずに「しゃがむ」動きをするのは無理があるのではないか,と(「改めて事件現場を考える」)。この考察の根拠とした資料は,児童館長が作成して事件2…

改めて事件現場を考える

バットで頭を殴られたにも関わらず救急車を呼んでもらえなかった。それが娘の事件に対する疑問の始まりといえます。ヘルメットがあるのは頭を衝撃から守るためと学習しているので,頭に衝撃を受けた人には慎重にという考えを持っているからです。これまで何…

脳振盪って軽くないんです

娘が現在も治療を続けている脳振盪後遺症に関連して先月,患者の治療の大変に対する認知が低いことを記しました(『なかなか知られにくい脳損傷』)。脳振盪の重さに対する知識が普及していないことを憂慮する気持ちからのものです。 私がこの問題を考えるよ…

ホームランで隠された暴力

世上騒がれている事件に便乗する形になりますが,プロ野球・中田翔選手の暴力事件の,その後があまりにもずさんに感じるので触れておきます。 経緯を簡単に整理しておきます。プロ野球・日本ハムファイターズの中田翔選手は,8月4日に函館で行われたDeN…

なかなか知られにくい脳損傷

私はこのブログで,事件発生時になぜ救急車が呼ばれなかったのかをずっと問題視してきました。野球のバットで頭部を殴られて気を失う。単純に考えれば脳の損傷による緊急対応が考えられたはずです。しかし現場の児童館長は,問いかけに返答できていたから普…

形だけの謝罪で済ませてはならない

いろいろとトラブルが続きながらも,やっと開幕にたどり着いた東京五輪。その目前でまたもスキャンダルが発覚して開催意義はさらに薄められたように感じています。開会式に起用されたミュージシャン・小山田圭吾氏の一件です。暴力を考えるうえで見逃せない…