娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

社会・世間

本当に謝罪している?

このブログでは,娘の事件に関連して少年が関係する事件についても時々触れています。そうした目線を持って報道を見ていると,いじめ関連の事件に気付くことが少なくないように思います。いじめ問題は,他人との関わり方の難しさが子供時代から始まることを…

衆目の中での暴力

私は映画が好きで,よく見に行く方だと思っています。米アカデミー賞で久々に話題となった日本映画「ドライブ・マイ・カー」も先月に見ていたので,国際長編映画賞の受賞は嬉しく受け止めています。アクションなどない静かな3時間ほどの作品でしたが,時間…

「預かる」と「育てる」の間

娘の事件現場が学童保育であったこともあり,事件以来,子供が集まる施設や制度,いじめなどの問題に対する関心を持つようになりました。そうした関心からの話です。 今年7月,福岡県中間市の保育園で,登園バスの中に取り残された5歳の男の子が熱中症で死…

ホームランで隠された暴力

世上騒がれている事件に便乗する形になりますが,プロ野球・中田翔選手の暴力事件の,その後があまりにもずさんに感じるので触れておきます。 経緯を簡単に整理しておきます。プロ野球・日本ハムファイターズの中田翔選手は,8月4日に函館で行われたDeN…

形だけの謝罪で済ませてはならない

いろいろとトラブルが続きながらも,やっと開幕にたどり着いた東京五輪。その目前でまたもスキャンダルが発覚して開催意義はさらに薄められたように感じています。開会式に起用されたミュージシャン・小山田圭吾氏の一件です。暴力を考えるうえで見逃せない…

暴力は再生産される

前回は,身近なスポーツの現場における指導者の資質によって暴力的な環境が生まれていく状況について記しました。生活の身近なところで起こる暴力について考えているわけですが,今回は本の情報ですが,地域社会にもたらされた暴力的な経験が次の暴力につな…

暴力が生まれる場面

このブログでは,身近なところで起きている暴力についても取り上げています。情報源は主に新聞ですが,その情報の中で学校でのいじめとスポーツ指導者問題が比較的多いように感じています。今回はスポーツ関連で,ごく普通の少年スポーツの現場での話です。 …

トヨタのパワハラ和解で考えたこと

前回掲載予定の6月4日はできませんでした。プライベートイベント発生でゆるりと考える時間を失ってしまったからですが,我が筆力の無さを露呈してしまいました。スミマセン。 さて先週,「パワハラ自殺、トヨタと遺族和解」との記事を見て,さまざまに考え…

被害者は社会的弱者のままにある

先月末,犯罪被害者の支援が進んでいないとする報道がありました。具体的には,犯罪被害者への見舞金を支給する制度を犯罪被害者等支援条例などで定めている全国約300の自治体のうち,2019年度に制度を一度も活用せずに支給がなかった自治体が,少なくとも12…

いじめを隠蔽したい人たち

私は,いじめも暴力行為としてこのブログで扱ってきましたが,いじめそのものもさることながら,いじめの現場にいる教員や教委が,いじめの隠蔽・矮小化に走っていることを主に取り上げてきました。またまたそのような報道が今月に入ってからありました。兵…

暴力を許容する組織,謝罪しない人

今月の報道で気になったものを二つ取り上げておきます。 一つは防衛大学校のいじめ訴訟を報じたものです。2013年4月に防衛大に入学した男性が,入学以降に上級生から顔を殴られたり,アルコールを吹きかけられて体毛に火を付けられたりする暴行を受けて15年…

事件を取り巻く人たちの思惑

先月気になった報道から。2017年4月に長崎の私立海星高校で,当時2年の男子生徒がいじめを苦に自殺する事件があり,これに関連する学校側や学校を指導する立場にある県教委の対応に対する疑問を報じたもので,テレビでは目にすることがありませんでしたが…

核心に関わる言葉が聞きたかった

娘は事件の際,頭部をバットで殴られて昏倒したにも関わらず救急車が呼ばれなかった,ということに悔しい思いを持っていました。そうしたことから事件等に際しては,被害者優先の考え方のもとに救急車が呼ばれるようになってほしいという思いから,署名活動…

いじめの背後に横たわるもの

先月下旬, 2019年度に全国の小中高校など約37,000校を対象に行われた問題行動・不登校調査に関し,文科省による結果公表が報道されました。いじめは前年度に比べて6万8千件増の61万2千件余で過去最多だったとしています。また被害者が心身に重大な被害を…

「子供に手錠」で考える

先週12日のテレビニュースで,8歳男児に警察官が手錠をかける映像が流されました(『非情 涙の8歳に手錠』)。アメリカ・フロリダ州での2018年12月の出来事で,男児が教師をたたいたとして学校が警察に通報したものです。映像では,警察官が男児に「君はど…

事件の被害者に対する想像を

世の中の流れとして,犯罪被害者のことをもっと重く考えなければならなくなっていますよ,という話を繰り返してきましたが,今月もう一つ,そのことを押してくれるような報道を見つけたので記しておきます。 今月6日に最高裁小法廷であった判決です。まず事…

少年犯罪被害者の不利

法務省の犯罪被害者に関するホームページに次のような記載があります。犯罪の発生から始まり,警察による捜査と検察官への送致,検察官による起訴・不起訴の決定,起訴の場合の裁判所での裁判という犯罪者が事件を起こしてからの一連の流れが記され,その中…

少年事件をこじらせる大人たち

先日,気になる事件を見つけました(渋井哲也『愛知県豊田市で下校中に大けが なぜ被害者である姉妹が転校を余儀なくされたのか』)。読みながら既視感を覚えるものがありました。 まず事件現場から。2018年10月下旬,愛知県豊田市内にある小学校の一斉下校…

コロナ禍に衝撃的な事件がまたも

前回,少年による父親刺殺事件のことを書きました。父親による虐待が子供による事件を引き起こした,暴力の再生産が行われた,一人の人間に暴力が棲みつく過程が垣間見えるよう感じた,と。またまた家族間における衝撃的な事件が起きました。兵庫県宝塚市の…

暮らしの変化で暴力の場が増えている

新型コロナウイルス感染のピークは過ぎようとしているようですが,自粛を求められる辛抱暮らしはまだまだ必要なようです。疫病の流行が日本史の中では何度も繰り返されたと言われますが,現代人にとっては未経験の話ですし,自然災害ほど意識もしていなかっ…

少年の暴力はどこで生まれるのか

また少年による殺人事件が起こりました。今月23日に最初の報道があった事件です。3月下旬,岐阜市内の橋の下で暮らす81歳のホームレスの男性と一緒に暮らす女性の2人が,何者かに石を投げつけられてその場から逃走,約1キロほど離れた路上で女性が振り向…

少年をどこまで守るつもりなのか

森友問題で自殺した財務省職員と妻について週刊文春に掲載し続け「森友スクープ」として話題になっている大阪日日新聞の相澤冬樹氏が,先週『「罪を反省していない少年を社会に放り出すのか?」遺族が叫んだ事件と近畿財務局 赤木さんの事件の共通点』と題す…

暮らしが変化を強いられる時

新型コロナウイルス,本当に大変なことになってきました。病原体は,飢餓・戦争・自然災害と並ぶ人類生存の長い間の課題と聞いたことがあります。人類の命を脅かす未知のウイルスが世界中を急速に広まり,その勢いのまま私たちの暮らしに迫ってきました。報…

自分の暴力性を自覚できないとは

昨年1月に千葉県野田市で起こった児童虐待死事件に対する裁判員裁判の判決が,先月19日に千葉地裁でありました。小4女児の我が子に対し,父親が食事や十分な睡眠を与えず,浴室で冷水シャワーをかけ続けるなどして死亡させたという衝撃的な事件でした。 父…

「公」が歪んできているのではないか

このブログには不相応な大きな話かもしれませんが,気になっている話です。 今月18日,首相と官僚の関係を物語る森友学園を巡る公文書改ざん問題に関連し,自殺した職員の妻が国と改ざんを指示した佐川元国税庁長官を提訴した件です。提訴に合わせて自殺した…

全国一斉休校と学童保育

年初から新型コロナウイルスの感染が拡大し続け,未曾有の危機的状況なんだろう,と想像しています。政府は,3月2日から春休みまで臨時休校とするよう全国の小中学校・高校・特別支援学校に要請することを決め,2月27日に首相がこれを表明しました。異例…

虐待が増えていることの意味

警察庁が,昨年1年間で把握した刑法犯の数値を2月6日に発表しました。新聞によると,刑法犯全体の数値は「74万8千件余」で,「前年の数値を下回って5年連続で戦後最少を更新した」とのことです。減るのは良いのですが,逆に「子どもの被害や家族間トラ…

児童生徒からの暴力に関する署名

神戸市の児童館で小2児童にバットで殴られた娘は,子供からの暴力被害に遭った人たちと事件を社会的な問題として考えていくことを目的に,昨年3月『児童・生徒からの暴力被害者の会』を組織しました。活動が必ずしも順調というわけではなかったと思います…

闇に葬られる,のは

私がこの正月に入ってからの報道で気になったものを拾うと,イランの旅客機撃墜とか,ボーイングの連続墜落事故情報の隠蔽とか,三菱電機の労働問題への不誠実対応など1面に載る記事でも背景に「隠したい」を感じるものが少なくありませんでした。背負うも…

学童保育の職員の質は?

これも昨年末の新聞記事からなので旧聞な気もしますが,学童保育に関する報道なので触れます。娘が児童にバットで殴られましたのが,児童館で学童保育に従業中でしたから。 記事の内容は,昨年5月1日時点で学童保育を希望するもののかなわぬ待機児童が「最…