娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

「子供に手錠」で考える

先週12日のテレビニュースで,8歳男児に警察官が手錠をかける映像が流されました(『非情 涙の8歳に手錠』)。アメリカ・フロリダ州での2018年12月の出来事で,男児が教師をたたいたとして学校が警察に通報したものです。映像では,警察官が男児に「君はど…

神戸市への署名提出

娘は8月3日,児童生徒から職員への暴力に対する現状を訴えた署名について,ご支援をいただいている神戸市会議員の方々同席のもとで,神戸市に提出しました。児童館で小2男児にバットで殴られるという暴力事件にも関わらず,救急車も警察も呼ばれない理不…

事件の被害者に対する想像を

世の中の流れとして,犯罪被害者のことをもっと重く考えなければならなくなっていますよ,という話を繰り返してきましたが,今月もう一つ,そのことを押してくれるような報道を見つけたので記しておきます。 今月6日に最高裁小法廷であった判決です。まず事…

加害者対応だけで済む時代ではない

前2回,事件との向き合い方に変化が出てきているのではないかということを書きました。少年が関係する事件について,20年ほどの時間を踏まえて考えれば,という話です。 一つは2004年に制定された犯罪被害者等基本法が成立です。事件によって日常を奪われ,…

少年犯罪被害者の不利

法務省の犯罪被害者に関するホームページに次のような記載があります。犯罪の発生から始まり,警察による捜査と検察官への送致,検察官による起訴・不起訴の決定,起訴の場合の裁判所での裁判という犯罪者が事件を起こしてからの一連の流れが記され,その中…

少年事件をこじらせる大人たち

先日,気になる事件を見つけました(渋井哲也『愛知県豊田市で下校中に大けが なぜ被害者である姉妹が転校を余儀なくされたのか』)。読みながら既視感を覚えるものがありました。 まず事件現場から。2018年10月下旬,愛知県豊田市内にある小学校の一斉下校…

コロナ禍に衝撃的な事件がまたも

前回,少年による父親刺殺事件のことを書きました。父親による虐待が子供による事件を引き起こした,暴力の再生産が行われた,一人の人間に暴力が棲みつく過程が垣間見えるよう感じた,と。またまた家族間における衝撃的な事件が起きました。兵庫県宝塚市の…

暮らしの変化で暴力の場が増えている

新型コロナウイルス感染のピークは過ぎようとしているようですが,自粛を求められる辛抱暮らしはまだまだ必要なようです。疫病の流行が日本史の中では何度も繰り返されたと言われますが,現代人にとっては未経験の話ですし,自然災害ほど意識もしていなかっ…

4回目の「5月24日」

2017年5月24日午後4時の神戸市・松原児童館前,娘が小2男児にバットで殴られました。それから3年経ちましたが,被害者が置かれている状況は何も変わっていません。この1年もまた,事件の事実が語られないまま時間だけが過ぎ,歯がゆい思いはそのままで…

事件を「誤解」で済ませようとしているのか

5月は娘が事件に遭った月です。疑問がそのままの3年目でした。私たち親娘が事件に疑問を持ったのは,児童館の事件対応に疑問を感じたことから始まります。暴力事件なのに警察が知らなかったり,頭をバットで殴られた人がいるのに救急車が呼ばれなかったり…

少年の暴力はどこで生まれるのか

また少年による殺人事件が起こりました。今月23日に最初の報道があった事件です。3月下旬,岐阜市内の橋の下で暮らす81歳のホームレスの男性と一緒に暮らす女性の2人が,何者かに石を投げつけられてその場から逃走,約1キロほど離れた路上で女性が振り向…

少年をどこまで守るつもりなのか

森友問題で自殺した財務省職員と妻について週刊文春に掲載し続け「森友スクープ」として話題になっている大阪日日新聞の相澤冬樹氏が,先週『「罪を反省していない少年を社会に放り出すのか?」遺族が叫んだ事件と近畿財務局 赤木さんの事件の共通点』と題す…

暮らしが変化を強いられる時

新型コロナウイルス,本当に大変なことになってきました。病原体は,飢餓・戦争・自然災害と並ぶ人類生存の長い間の課題と聞いたことがあります。人類の命を脅かす未知のウイルスが世界中を急速に広まり,その勢いのまま私たちの暮らしに迫ってきました。報…

自分の暴力性を自覚できないとは

昨年1月に千葉県野田市で起こった児童虐待死事件に対する裁判員裁判の判決が,先月19日に千葉地裁でありました。小4女児の我が子に対し,父親が食事や十分な睡眠を与えず,浴室で冷水シャワーをかけ続けるなどして死亡させたという衝撃的な事件でした。 父…

「公」が歪んできているのではないか

このブログには不相応な大きな話かもしれませんが,気になっている話です。 今月18日,首相と官僚の関係を物語る森友学園を巡る公文書改ざん問題に関連し,自殺した職員の妻が国と改ざんを指示した佐川元国税庁長官を提訴した件です。提訴に合わせて自殺した…

教育長はこの回答案を読んだのか

前回,娘の事件に対する神戸市教委からの要望書回答に対する疑問の一つを記しましたが(『校長先生の報告はガセネタにされたのか』),メインの疑問を記しておきます。 神戸市教委への要望書の提出は,加害児童が通う小学校長への面会を希望するものでした。…

校長先生の報告はガセネタにされたのか

前回・前々回と,加害児童への措置(『改めて加害児童への対応を振り返る』)や彼が通う小学校の対応(『娘の事件,加害児童の小学校はどう受け止めた』)について書きましたが,神戸市教委との関係を語る前に,もう一つ記しておくことがあります。 娘は,事…

改めて加害児童への対応を振り返る

前回,神戸市教育委員会に触れる前提として,加害児童が属する小学校の対応に触れましたが(『娘の事件,加害児童の小学校はどう受け止めた』),合わせて事件後,加害児童をどのように対処したのかについても改めて整理しておきます。 事件は2017年5月24日午…

娘の事件,加害児童の小学校はどう受け止めた

先月上旬,「神戸市教委係長が自殺か」とする報道がありました。この係長は昨年4月に市長部局から出向して教育委員の会議を担当し,昨秋の東須磨小学校教員間暴力事件発覚後は,会議の開催頻度が増えたとの記述もありました。いずれにしても,自殺者が出る…

全国一斉休校と学童保育

年初から新型コロナウイルスの感染が拡大し続け,未曾有の危機的状況なんだろう,と想像しています。政府は,3月2日から春休みまで臨時休校とするよう全国の小中学校・高校・特別支援学校に要請することを決め,2月27日に首相がこれを表明しました。異例…

神戸市,今度は児童相談所ですか

これも今月報道された話から始めます。今月10日の午前3時ごろ,と言いますから真夜中になりますが,神戸市の児童相談所である「こども家庭センター」に助けを求めに来た小学6年の女児を当直者が追い返していたことが,19日になって報道されました。 娘がバ…

虐待が増えていることの意味

警察庁が,昨年1年間で把握した刑法犯の数値を2月6日に発表しました。新聞によると,刑法犯全体の数値は「74万8千件余」で,「前年の数値を下回って5年連続で戦後最少を更新した」とのことです。減るのは良いのですが,逆に「子どもの被害や家族間トラ…

児童生徒からの暴力に関する署名

神戸市の児童館で小2児童にバットで殴られた娘は,子供からの暴力被害に遭った人たちと事件を社会的な問題として考えていくことを目的に,昨年3月『児童・生徒からの暴力被害者の会』を組織しました。活動が必ずしも順調というわけではなかったと思います…

闇に葬られる,のは

私がこの正月に入ってからの報道で気になったものを拾うと,イランの旅客機撃墜とか,ボーイングの連続墜落事故情報の隠蔽とか,三菱電機の労働問題への不誠実対応など1面に載る記事でも背景に「隠したい」を感じるものが少なくありませんでした。背負うも…

学童保育の職員の質は?

これも昨年末の新聞記事からなので旧聞な気もしますが,学童保育に関する報道なので触れます。娘が児童にバットで殴られましたのが,児童館で学童保育に従業中でしたから。 記事の内容は,昨年5月1日時点で学童保育を希望するもののかなわぬ待機児童が「最…

「発達障害だから暴力」の不見識

昨年末の12月23日,東京・池袋のマクドナルドに並んだ行列で,23歳の専門学校生の男が2歳男児の腹を蹴るという事件報道がありました。私がこの事件に注目したのは,男について「発達障害を患っている」との話が出ていたことにあります。娘の事件でも加害児…

この1年も疑問はそのまま

平成の最終年・令和の最初年が間もなく終わります。娘の事件にとってのこの年をポイントを記しておきます。 このブログをこれまでご覧になっている方にはわかると思いますが,事件に関して私がずっとこだわっているのは「事件の真実が語られていない」という…

家庭での暴力がもたらすもの

前回,虐待の事件報道で考えたことを記しました。その後も虐待に関連する報道が続いていますので,気になったところを少し記しておきます。 相次ぐ児童虐待事件の整理の中で,DV(ドメスティックバイオレンス)が密接に関連していることがわかってきている…

虐待報道が続くことの意味

最近,虐待に関する報道が繰り返されています。 先月,福岡県田川市で1歳の三男に向けてエアガンを数十発発射してケガを負わせたという報道がありました。昨年11月のことで,その翌月この子は肺炎で亡くなっており,共に24歳の両親が傷害容疑で逮捕され,後…

親の暴力への鈍感さが子に及ぼすもの

暴力に対する「感度」とでもいう部分は,やはり世の中的には余り高くないと思っておいた方が良いのでしょうか。そんなことを考えせる事件を今月の報道から拾いました。 大分県日出町の小学校女子バレーボールのクラブチームで起きた事件です。事件をなぞって…