娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市児童館で小2男児が職員を後ろからバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件以降のあれこれを記していきます。ブログ開設趣旨を,開設日2018年10月3日に記載しています。私は,久保田昌加(仮名)

見舞金も出さないんだ

 娘に関する労災保険の事務一切は,児童館の指定管理者が行っていました。指定管理者の担当を通して労働基準監督署に提出することを求められていましたし,私ども家族も初めて経験なので,その意に従っていました。

 しかし,この労災関係の手続の迅速性には当初から疑問を持っていました。象徴的なのが,「第三者行為災害」関係書類の提出でした。この書類は,本来的には労災手続の初期に提出されるべきもので,そうした性格のものであることは労働基準監督署でも確認しました。しかし,私どもに記入依頼があったのは9月になってからです。また,指定管理者の書類処理が遅れて新規病院での診療が遅れたこともありました。事務処理が遅れている感じを時間とともに感じることが多くなっていきました。

 各病院の診療費については,労災手続により個々に診療費を払う必要がなかったので助かっていました。しかし,これについても今後の労働基準監督署の判断によっては,労災対象外,つまり患者払いになるものが出てくる可能性があります。全額とはいかない可能性もありますが,それでもこれまで診療費を直接支払わなくてもよかったのは,経済的に助かったといえます。

 しかし,休業補償はそうはいきません。前記のように,事務処理が迅速ではありませんでしたし,私どもも制度のことをよくわかっていないので,この休業補償がいつどのような形で出されるのかわからない状況が続き,結局,事件のあった年度は一銭も入りませんでした。

 したがって,娘は事件以降,生活費は断たれたままの状態に置かれました。もともと大学院進学に際しては,就職時の蓄えをベースに,学校等の臨時職での収入を当て込んで生活を組み立てていました。そのため事件時には,小学校の臨時講師と児童館の支援員の仕事を掛け持ちして生活費を確保していました。

 しかし事件で受傷したことにより,療養時間を優先するためこれらの仕事に就くことが叶わなくなりました。事件後一切の収入を断たれてしまったのです。一般的には,こうした際に事業者が見舞金なり,一時金を支出することもあると聞きますが,そうした支援はありませんでした。一般的に職場で掛けるとされる任意保険による支援もありません。事件翌日,労災関係の書類を受取るため指定管理者事務所に娘が寄った際,事務担当者から郷里に帰省する費用が労災対象外であることに関係して「労災から出なくても事業主として費用を出す」旨の話を聞いていたそうです。しかし,8月末になってその事務所担当からの連絡書類の中に「新幹線代金補償の件は、一担当者である私自身で判断できることではなく」と取り消す記載がありました。最初の時点では,一般的な対応として話があったものと理解していますが,それが3カ月近く経って否定されたわけです。この間に何があったのか。被害届提出です。指定管理者が事態収拾のために用意していたシナリオにない,予想外の行動を被害者が取ったことに対し,態度を硬化させて対応を変えたとみることができます。

 事件から4カ月後に,指定管理者代理人の弁護士と,救急車を呼ばないことについて文書をやり取りしている中で,私は労災関係書類の処理の遅さを指摘し,その是正を求めました。代理人からの返答には「不慣れな手続の中で」とありました。その後,ある労働行政実務に詳しい方の話を聞く機会があり,娘の境遇について話したら「見舞金を出さない事業者の話は初めて聞いた」との言がありました。

 そのことを改めて考えることになりました。労災の書類は定型的な様式のもので,ルーチン・ワークという印象を持っています。昨日今日立ち上げられた事業所ならともかく,複数の福祉施設運営し,三桁の従業員を雇用する組織が,この程度の労災関係書類に戸惑うなど信じられない話です。

 そこまで考えて気付きました。指定管理者が手続きに慣れてないので見舞金すら出さないでいるというレベルの話ではなく,娘が被害届を出したことに対する対抗措置ではないか。指定管理者や市役所が描いたシナリオに反し,警察に被害届を出したことに対する報復措置なのだと。そう考えると書類の取扱いが遅れたことも含め,指定管理者の対応は辻褄が合うように感じられるのです。先に記した郷里への新幹線代金補償の件も同じなのです。もちろん彼らは否定するでしょう。しかし彼らのこれまでの対応を振り返ると,そうした疑いを払拭できないのです。

 これまで神戸市会常任委員会の質疑の中で,被害者に対する補償の質問が出,神戸市は「指定管理者と被害者が協議」的な答弁をしていますが,指定管理者とそうした協議をしたことは一切ありませんので,そのことも付け加えておきます。

 2018年2月下旬に何の前触れもなく指定管理者から文書が送られてきた。臨時雇用の新年度からの雇用継続を確認したいと。とっさに頭に思い浮かんだ言葉が「白々しい!」