事件報道から１年，次に向けて
2017年12月19日，「神戸市立松原児童館バット殴打事件」が初めて報道されました。事件から７カ月近く経過してからのことでしたが，それから１年経ちました。この報道は，被害者家族にとっては，事件の大きな転機にあたる出来事でしたので，そのあたりのことを振り返ってみます。
明確に被害者・加害者が存在するにも関わらず，何ら報道されることがないことに疑問を持っていた娘は，旧知の犯罪被害者遺族からの紹介で共同通信と産経新聞の記者に会うことができ，事件を取材してもらいます。事件のさまざまな状況を考慮し，事件現場は「兵庫県」ということで記事は進められていました。
私にこうした動きが娘から伝えられたのは，11月中旬でした。事件が社会の中に埋もれていくことに対する疑問がありましたので，少し救われたような気分になりました。また，これまでの人生にはなかった「犯罪被害」という災難に対する不安や，事件とどう向き合っていけばよいのかという不安が重なっていたこともあり，これを機に私も身辺の方々に相談を始めました。行政経験のある友人たちは，異口同音に神戸市役所の対応に疑問を呈してくれ，不安の高まりが少しずつ抑えられていく安らぎを感じていました。そうした中で，新聞掲載が12月19日になったという連絡を受け，その日を心待ちにしていました。
19日の朝刊に『小２ バットで女性職員殴る』の見出しで掲載されましたが，間もなく娘から慌ただしく電話が入りました。共同通信が配信している神戸新聞が，事件現場を「神戸市内」と報じたというのです（これに対しては共同通信からも抗議があったようです）。しかも，この日午前，神戸市役所が記者会見を行なうといいます。神戸市役所は事件後一度も被害者との接触を持っていないのでイヤな予感がしました。その日の夕方のテレビニュースでは，「発達障害の児童が暴力」という部分が取り上げられたとの連絡もありました（10/13『「発達障害だから暴力」という発表』）。翌朝の神戸新聞では，事件後１時間半も経ってから病院に連れて行ったことを「直後に病院に」と報じています。時流に乗った見事なフェイクニュース？
神戸市役所は，重要な事件関係者である被害者の情報を持つことなく，指定管理者が自らに都合のいいものとして準備した情報だけをもとに発表したわけです。予感的中，怒りが沸点に達しました。そのため私も急遽神戸にでかけ，22日に神戸市役所記者クラブで娘と記者会見を行ない，神戸市役所の情報が被害者を無視した一方的なものであることを説明しました。しかし，翌日の新聞には『児童館119番せず』と掲載をしてくれた新聞もありましたが，３日前の『小２ バットで女性職員殴る』の衝撃には勝てなかったようで，掲載紙は多くありませんでした。
以上が，１年前の事件報道前後の私のドタバタです。その後の動きは，このブログに書き連ねてきました。私たちが求めるのは事件の真実を社会に示してほしいということです。それ無しに再発防止はありえません。事件後７カ月近く経ってから報道されなければならないことが，子どもが絡む事件の難しさを物語っているのかもしれません。明確な根拠はありませんが，いじめも含め，子ども界の事件というものは，世間に示されるまでに時間がかかるような印象を持っています。子どもという未来の存在が抱える課題の難しさなのだろうと思います。もっとも，私たちの事件の不合理は，そうした課題を隠れ蓑に児童館指定管理者と神戸市役所が保身に動いたことからきているものです。
私にとっては報道されたことで，身の回りの人たちに相談しやすくなりましたし，皆が心配し声援してくることを感じています。そのことは娘も同じだと思います。今年になってからの大きな流れは前回にも記しましたが（12/12『クロ現もＡＥＲＡも取り上げた！！』），最近のことを記しておきます。娘も事件報道を機に，神戸市役所や指定管理者に対する恨みを募らせたようですが，それだけではまずいとも考えたようで（そうでないと親としても困る），事件から考えられる課題を提起する行動を起こしています。先日も大阪市内でシンガーソングライターyu-kaさんの協力を得て『子どもの犯罪と発達障害って関係あるの？』と題してミニコンサートの集いを開いています。神戸市役所の失言が前提になっていますが，小さくても抱えている課題に対する行動を繰り返していってほしいと考えています。また，支援してくれる方々への感謝を忘れず取り組んでほしいと思います。
なお娘は，子どもから職員への暴力を防ぐ意味でも基礎的な調査が必要と考え，ネットでの署名活動も始めています。ご賛同いただければありがたいです。よろしくお願いします。
『子どもから職員の暴力被害が多発。全国調査の実施を求めます』
https://www.change.org/p/%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81-%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%8B%E3%82%89%E8%81%B7%E5%93%A1%E3%81%AE%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E3%81%8C%E5%A4%9A%E7%99%BA-%E5%85%A8%E5%9B%BD%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E5%AE%9F%E6%96%BD%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%99?recruiter=639272174&utm_source=share_petition&utm_medium=twitter&utm_campaign=share_petition&utm_term=share_petition
時々暴走気味になることもありますが，前向きに生きていることを善しとし，親としては見守ることしかできませんが支えていきたいと考えています。
