娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

少年法,本当に考えた?

 バットで故意に人を殴るという,明らかに法に触れる行為を行った児童が,少年法にもとづく保護をされることもなく,児童館の退所手続だけで関係者の視界から放り出されます。彼が保護されるのは,被害者が被害届を提出して,警察による調査で行動が確認されてからです。法にもとづく判断行動をすべき行政=児童館設置者である神戸市が,いつからその触法性を認識していたか,という問題です。

[タイトル]事件としての認識について
[質問] 前回質問の同タイトルに関連します。この事件の持つ触法性を意識したのはいつかとする質問に、「報告を受けた時点から触法性があると認識しておりました」との回答がありました。その報告が被害届提出のことだとすると新たな情報が出てきたことになりますが、これを機に事件そのものを見直すなどの対処は考えなかったのでしょうか。
[回答] 報告については、事案発生当初の指定管理者からの報告を指しております。

[所見] この問題については,以前もブログに記載していますが(’18/10/27『コトの重さをいつ意識した?』),簡単に事件後からの児童への対応を整理してから入ります。小2児童が背後からバットで娘の頭を殴った事件です。故意によるもので,明らかに少年法にもとづく法的措置が必要な行動です。しかし,児童館は保護者に「出入り禁止」を言い渡し,児童を保護することなく世間に放逐します。市もこれを受け入れているので,法的措置の必要性を認識していなかったと考えられます。被害者からの被害届の提出によって警察による触法調査が行われ,児童の暴力行為が確認され,児童相談所に通告,要するに保護された状況になります。なぜもっと早い段階でこうした措置が取られなかったのか,というのが,前回の質問です。
 それに対し,「報告を受けた時点から触法性があると認識しておりました」との回答がありました(’18/11/05『児童はなぜ野放しにされたのか』)。この「報告」が事件発生の報告なのか,警察が動き出したことの報告なのか曖昧ですが,いずれにしても報告を受けて気付いていても,何もしなかったということだけは確かといえます。それを踏まえたうえでの今回の質問でした。
 回答は,簡単に「報告については,事案発生当初の指定管理者からの報告を指しております」となっています。市は事件当初から「触法性」を認識していたとしたいのでしょうが,そのことに気付いていたのであれば,児童に対してもっと早い段階で具体的な法的措置をとるべきではなかったのでしょうか。なぜ法にもとづく行動がなかったのか,これまでの回答で何度も繰り返されてきた「指定管理者の指導」がなぜ行われなかったのか,という疑問は残ったままです。

 しかし,この質問で重要なのはここではありません。被害者からの被害届提出を機に「事件そのものを見直す対処は考えなかったのでしょうか」なのです。それまで事件現場に関する情報は,指定管理者からのものしかありませんでした。その情報の中に,少年を保護することは触れられていなかったはずですし,市もその必要性を感じていなかったはずです。そこに指定管理者と異なる情報を持つ被害者が登場したのです。少年の触法行動を指摘しているわけです。神戸市は,施設設置者として,この新たな情報にどのような行動を取ったのか?なのです。それは,「公」として,より多くの情報を収集して巨視的・俯瞰的に判断するという行動を取らなかった(取れなかった?)ことへの疑問でもあります。
 神戸市としては,そこを答えたくないので,「事案発生当初の指定管理者からの報告」としなければならないのだとも受け止めています。仮に回答を信じるとしても,法にもとづく行動を何もして来なかったことについては,どのような説明をされるのでしょう。それこそが,ここの回答の本質だと考えています。