娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。4の付く日に更新しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

コロナ禍に衝撃的な事件がまたも

 前回,少年による父親刺殺事件のことを書きました。父親による虐待が子供による事件を引き起こした,暴力の再生産が行われた,一人の人間に暴力が棲みつく過程が垣間見えるよう感じた,と。またまた家族間における衝撃的な事件が起きました。兵庫県宝塚市のボーガンで近親者を殺傷した事件です。

 まずボーガンについて。弓の弦を引いて矢をセットし,引き金を引いて発射できるようにした道具なので,弓のような熟練は必要ないとされ,歴史物の洋画で見たような気がします。タイトルまでは思い出せませんが,人を狙って撃つ武器という印象を持っていました。しかし実は,武器ともいえるこの道具を規制する法律はないようで,今回の事件による報道の中でも銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)の対象外となっているとありました。銃のような飛び道具で殺傷能力を有するにも関わらず規制がないことについて官房長官兵庫県知事が言及していますので,然るべき規制の動きが始まるのだろうし,そうあってほしいと考えます。

 事件のことについて。今月4日午前,宝塚市に住む23歳の男が,同居する祖母と弟を殺し,別居している母と伯母も呼び出し,母を殺して伯母には重傷を負わせ,この伯母が近所に助けを求めたことで通報がされます。この家族は,もともと祖母が住んでいた住宅に数年前から容疑者と弟が住むようになり,最初は一緒に住んでいたとされる母親が,その後徒歩数分先にあるアパートに引っ越したとのことです。
 被害者はいずれも至近距離から狙われたようで,殺された3人は頭を撃たれ,バイクで来てヘルメットを被っていた伯母は首を撃たれたといいます。もみ合った形跡がないことから,それぞれ別々の部屋でいきなり襲われたようです。
 容疑者の高校時代を知る人たちは「明るい性格で友達が多かった」と印象を語り,事件に対して戸惑いの声があがったともあります。容疑者は警察に自らを「大学4年生」と語り「昨年5月に休学届を出した」と話したようですが,県警が大学に確認したところ昨年9月に除籍されていたといいます。大学の対応にはいささか不可解な感じも受けますが,容疑者は大学以降,孤立の方向に,心の闇が増幅される方向に流れて行ったように感じられます。「家族を殺すつもりでやった」と供述していることや,犯行行為と合わせて考えると,ごくごく身近な人に対するその殺意の強さに衝撃を覚えます。容疑者に対しては,今後何らかの精神疾患などに関する説明も出てくるのでしょうが,尋常な精神状態でできる行動ではないとしか思えません。

 前回,新型コロナ禍の中でDVや虐待が増えている,家族関係を歪ませている家庭が増えている的報道が増えていることに触れました。歴史的にも感染症の流行は,感染症そのものによる犠牲もさることながら,不安から疑心暗鬼が生じて犠牲が膨らむ世相になっていることが裏付けられています。感染に対する不安をはじめとして,ステイホームに伴う家庭ストレスの増加,雇用をはじめとする社会不安など,大きな様々な「不安の波」に襲われている現在です。心の中の積み残しが不安の中で増幅されるとの話もよく聞きます。そのことに私が触れるのは,不安の蔓延が暴力行為の増加に結び付いていることを述べておきたいからです。宝塚市の事件にコロナ禍がどのように影響しているかはわかりませんが,暴力行為に関する報道が増えているように感じています。不安が暴力を生み,暴力がさらに次の暴力を生み,子供にまでそうした動きが広まることを心配しています。娘が受けたような,道具が凶器に変わるような次なる暴力が生じることを。
 それにしても,この事件も兵庫県か。