娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。4の付く日に更新しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

性暴力への視点の甘さ

 このブログでは,娘の事件に限らず様々な暴力について考えたことも記していましたが,これまで触れてきていなかった性暴力について少し考えてみます。

 きっかけは自民党女性衆院議員による「女性はいくらでもウソをつけますから」発言があったという9月26日の報道でした。女性蔑視と受け止められる発言なわけで,多くの批判が起きました。非公開の会議での発言なので報道後の取材に発言を否定したようですが,複数の関係者から発言が確認されているとのことです。会議は来年度予算の説明を受ける会議で,性暴力被害者を支援する相談事業に関連しての発言でした。
 その後,議員が自身のブログへ同様に発言を否定する内容を掲載したようですが,逆にその内容から性暴力被害者やその支援現場のことに対する無知を指摘されています(小川たまか『「女性はいくらでもうそ」は言ってない? 杉田水脈議員の弁解ブログが輪をかけてひどい理由』)。この指摘の中で,性暴力被害者の「ワンストップ支援センター」の活動に触れ,活動実績をあげている大阪では警察に通報した人が43.5%にのぼったとありました。内閣府調査によると,女性の13人に1人,男性の67人に1人が過去に「無理やり性交等された被害経験」があると答えたものの,警察に相談したと答えた人はわずか3.7%しかいないとありました。暴力被害である以上,もっと被害者が保護されるべき=加害者が罰せられるべきと考えますが,性暴力被害は闇の中に紛れやすいことを意味しているといえます。被害を受けた人が声を上げにくい状況が社会にあるわけで,ここで取り上げられた支援センターのさらなる充実が望まれるところです。
 そして,この発言が行われた会議において,この女性議員の発言に対して出席者の中から「笑い」が起こったとの報道もありました。事実だとすれば,こうした雰囲気こそが現在の性暴力問題に対する社会の鈍感さを表しているように思えてなりません。私たちの社会は,まだそういうレベルであるということなのでしょう。

 性暴力に関連してもう一つ,「わいせつ教員」に関するものがあります。わいせつ教員に「教員免許を再取得できなくして」との署名が提出されたとの報道が9月28日にありました。その前の25日には,2019年度までの5年間に,わいせつ行為で懲戒処分を受けた教員の数が1030人に上るとの報道もありました。平成30年度にわいせつ行為やセックシャルハラスメントによる懲戒処分を受けた公立学校の教員は282人で過去最多となるとの報道もあっています。そうした状況から,懲戒免職処分を受けた教員が3年を経過すれば再取得も可能な状態になっている制度を,再取得できないようにしてほしいというのが先に記した署名の趣旨になります。
 この署名に至る動きは,7月に国会で文科相が,わいせつ教員について「非常に重要な問題」と述べ,教員職員免許法の見直しを表明していたことから,8月末に文科省の案が公表されたのですが,「免許取得を5年に延長」する案となっていました。教員による児童生徒への性暴力が深刻化する事態を受けての改正とはいえ,3年を5年に延長するだけで済む話なの?と考えてしまいますし,文科相も「報道を見てびっくり」と語ったようです。思慮に欠けた案としか言いようがありません。
 性犯罪については,再犯率が高いとされることや刑罰だけでなく治療を要するケースも少なくないようですし,罪を犯した人間の更生や職業選択との関連も絡む問題でもあります。そのあたりについては,できるだけ科学的に妥当性のある措置適用を進めてもらうしかないと思いますが,教師と児童生徒という信頼関係を壊す行為,児童生徒の未来に残る傷を残す行為であることを考えると,厳格な対応を選択することが適切ではないかと考えます。

 性暴力に関連する問題として上に二つ並べましたが,そこにつながるものを感じます。なかなか大声で語られない事件になってしまうことです。しかし,そこには必ず被害者・弱者が存在します。数として多くないのは被害者が闇の中に押し込められやすい状況があるからと考えますし,そうした被害者に支援の手が伸べられやすい社会に早くなってほしいものです。そのことを一人ひとりが関心を持って意識してほしいと考えます。