娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。4の付く日に更新しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

公の場での神戸市の見解(1)

 2017年12月19日の新聞報道に続いて公の場で娘の事件が語られたのは,神戸市会の常任委員会でした。18年3月22日に行われた文教こども委員会で,20分弱の質疑が行われました。質問したのは小林るみ子議員。いじめ問題に取り組んでいる人の紹介で娘に会い,事件時の状況や職場の対応,市が行った記者会見での発表内容に対する疑問などを聞いていただいたようです。市側の答弁は山本こども企画育成部長。3年前の今頃のことですが,改めて答弁に見える市の姿勢を振り返っておきます。私の注を[ ]で記します。

① 委員から事件の経緯を聞かれた部長は,学童保育施設の外の公園での野球を希望する子供がいた,年度が変わって精神的に不安定だった子供は軟らかいポリウレタンのバットで指導員をたたいた,指導員が少しフラっとされたので施設の人が様子をみてから念のため脳の専門病院と総合病院に連れて行った,支援員が「救急車を呼んでくれなかった」と主張している,指定管理者と雇用されている人の労働安全衛生の中で対応するということで現在は協議中と聞いている,と答弁しています。[事件の内容がとても「軽い」もの, 事件性を感じさせない軽い内容になっています。委員は被害者の難聴や頭部外傷など「重い」治療状況を説明していますが,問いと答えの重さの違いが,事件の受け止め方の違いになっています]

② 記者会見で「子供の発達障害が要因」と公表したことについて問われ,部長は「個別の事については差し控えさせていただきたい」と答えたものの,突っ込まれて「一般論でお答えさせていただきます」とし,あれこれ弁明めいた言葉を連ねたうえで「私はあの発達障害のお子様という表現はしないと思います」と答えています。[私には白眉の答弁に見えました。部下である課長が暴力の要因として発達障害をあげた発言をどうしても認めたくなかったのでしょう。この後の答弁ではマスコミ報道の仕方でそのような話になった的な弁解をして委員からさらに突っ込まれています。部下がどのような記者会見をしたのか把握していないことがわかります]

③ 休職状態にある被害者の補償について問われた部長は,指定管理者が労働災害(労災)で対応できないか検討していると聞いているが,申請中の状態なので最終的な決定には至っていないと聞いている,と答えます。答弁内容からこの時点では何の補償もされていないことが明らかになったことで,委員から早急な補償への動きを求められています。[受傷により就労できず収入を断たれた被害者に対し,雇用者である児童館指定管理者から見舞金なり一時金などの支援は一切ありません。児童館の全国組織である児童健全育成推進財団では,児童館や学童保育における万一の事故に備えて共済制度を設けており,児童だけでなくそこで働く職員も対象となるのですが,松原児童館はこの制度に加入していなかったので,こうした制度による支援もありませんでした。委員会の時点で娘はその情報を得ていましたが,市はそうしたことすら把握していなかったことがわかります]

④ 加害児童に関する質問に対して部長は,ここでも一般論と断りながら児童館・学童保育施設と学校話し合いをさせていただいているところ,と答えています。[「児童館・学童保育施設と学校」と話していますが,3カ月後の6月の委員会では「指定管理者・保護者・学校」としており,それが正しいのだと思います。加害児童の保護者は事件後間もなく学童保育からの退会届を出させられており(「現場で少年法はどのように意識されているのか」),児童館は保護者との関係を断った状態にあります。それでも児童館や学校で加害児童に関する話合いは継続されていたと「前向き」の状態を示したかったようです]

⑤ 委員から被害者との話合いを提案されたのに対し,ここでも一般論と前置きしてから,指定管理者とはリスク分担を協定書の中で決めているので指定管理者が対応すべきで,市は指定管理者に不手際がなかったか対応を検証している,と答えています[その検証された内容が上記のとおり疑問だらけで,指定管理者を追随しただけの検証だったことを物語っています]。また,「規定通りの人を貼り付けているので突発的な事故であったと思うが,まずは指定管理者と労使の関係で話合いを」との答えもありました[見逃せない言葉です。規定を「超えた」状態が起こった,対策にも関わらず事件が起きた,というのであれば逆にそこは施設設置者である神戸市の出番ではないのでしょうか]。そして,委員からの面会を進める提案に対して「(指定管理者と被害者の)問題のどこに齟齬があるのかということを指定管理者にもう一度確認して」と答えています。[事件を軽く報告した指定管理者と,警察に被害届を出した被害者。その認識の違いを「齟齬=くいちがい」レベルで表現するのは余りに鈍感。何としても指定管理者に押し付けておきたい意思は確認できます]

 以上の答弁に対する疑問については,次回に続けます。