娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。4の付く日に更新しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

なぜ「軽微な頭部打撲」なのか

 娘の事件に伴う労働者災害補償保険,いわゆる労災に関連する内容が不利な方向に動いていることについて,これまでもチラチラ記してきています。これに関連する「決定書」なる資料が,A4版100ページほど,目次だけでも7ページあります。医師による小難しい内容も多いのですが,それ以上に被害者として苦しむ娘を前提に考えると受入れ難い記述が多いので,なかなか読み方に気が入りません。弱音を吐いてもしようがないので,とりあえず気付いたところからボチボチ触れていこうと思います。

 全体にザっと目を通してみて,「つまづく」表記がありました。「軽微な頭部打撲」とか「軽微な頭部の打撲」という言葉が散見し,これにつまづいてしまうのです。「頭部」とあるので,脳外科が関連する個所の記載になります。最初の記載は,担当である神戸西労基署が作成した部分ですが,記載個所が含まれる目次で,「耳鼻科にかかる症状について」「整形外科にかかる症状について」とあるのに,それに続くところが「その他不定愁訴について」と並べられていました。「脳外科にかかる症状について」ではなく,「明白な器質的疾患が見られないのに様々な自覚症状を訴える状態(広辞苑)」とし,そこに「軽微な頭部の打撲」記述が出てくるのです。この目次からして,意図や思惑を感じさせるところがあります。私はこのブログで盛んに脳振盪後遺症を取り上げてきたので,これを否定するために結論が用意されているようにすら感じられてなりません。
 娘の治療を遠くから眺めてきただけですが,バットで殴られたことによる脳振盪後遺症の治療が今も続けられていることを考えると,「軽微な頭部打撲」という軽さを強調する記述が受け入れられないのです。しかも脳振盪はCTなどの画像には出ないとされているのですが,ここでも「画像に出ない」ので「認められない」という脳外科医の診断が記されています。治療を受けている脳振盪専門医を信用しているので,事件直後に診てくれた脳外科医が「ヤブだ」というつもりはありません。受傷から診断に至るまでの経過を検証することで見えてくるものがあると考えているので,改めて別の機会に整理したものを書きたいと思っています。

 それはそれとして,「決定書」の中では明確に整理された理由が見受けられないままの(私が見付けられないのかもしれませんが)記述に続けて,「軽微な頭部打撲」と書かれていることに安易さを感じています。安易なコピペを見せる記述個所もあるので,雑に書かれた印象も持っていて,その中での「軽微な頭部打撲」です。ただ1カ所,この「軽微な頭部打撲」の裏付けとなる具体的な記述を見つけましたので,ここで取り上げておきたいと思います。脳外科に関する労災医員が,事件に使われたバットのことに触れていて「バットについては金属バットなどではなく、表面はポリウレタンでやわらかい子供用のものであったことは確認されている」としています。医学的に云々ではなく,凶器のバットが「やわらかい」からだとしているのです。この決定書の前段の中ではバットについて「バットの素材は、表面はポリウレタンで柔らかく、芯材は折れにくい繊維強化プラスチックを使用したもの」と記しています。私は触法調査に当たった警察官から「殺傷能力のあるものです」と説明を受けています。この医師の記述は何を根拠に書かれたのでしょう。実物を確認したのでしょうか。「軽微な頭部打撲」が安易に使われたのだとすると,そのことこそ検証の必要があると考えました。

 というよりも,まず結論ありきで進められた動きを裏付ける話ではないのでしょうか。この労災医員は安易にバットのことを「やわらかい」と記述したわけですが,事件をそのようにイメージする雰囲気が労基署職員や医療関係者に行き渡っていたのではないでしょうか。そうした疑問を私は以前から持っていましたが,それを確認できるのがこの記述だと思うのです。

 この事件の最初を振り返ると,事業場関係者(児童館)は施設設置者である神戸市に緊急性のない軽易な出来事として報告したことから始まります。それに対して,たとえ少年であっても暴力行為に対しては毅然とするべしとする娘が,1ヵ月の郷里での療養を終えてから警察への被害届提出という行動を取ります。当初から娘と事業場の事件に対する認識のズレは正反対でした。こうした場合,公の組織である労基署はどのような立ち位置を取るのでしょう。神戸市役所もそうでしたが,公の偏った姿勢で苦しめられてきた部分がある,と私は考えているのです。