娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

 考えられる事件の要因

児童館バット殴打事件の現場②

 

 娘の証言からこの事件現場を整理すると,次のような課題が残されたと感じています。

①加害児童の素行
 加害児童は,普段から問題行動が多く,他者を意図的に傷付ける行動や,「人を殺してみたい」というような言動を見せていたようで,事件の数日前にも下級生女児に過激な暴力行為を行い,その女児母親からの強い抗議への対応を娘がしています。
 この女児の母親は,学校でも問題行動があっていることにも触れていました。また,児童館作成資料には,事件後の5月30日に児童館と小学校の間で,加害児童の問題行動に関する話合いが予定されていたことが記されています。しかも事件直後,他の児童とともに何事も無かったかのように当初予定の公園へ遊びに行こうとして他の職員に引き止められていますので,暴力的な行動に対する疑問を感じていないことがうかがわれます。資質的に普通とは異なるものを持っていた可能性もあるので,その資質的なことも含めて特別の対応が必要な状況にあったといえます。
 なお,児童館では,加害児童は「発達障害の診断」が出ているとし,それが暴力行為の要因のようなとらえ方をしていました。6月28日に私と娘が指定管理者側と面会した際も,指定管理者側から明確な返答のあった文言の一つが発達障害でした。発達障害を暴力行為の要因とすることには問題があると考えていますが,指定管理者側は児童の問題行動を発達障害に結び付けることで「思考停止」し,児童への十分な対応を怠っていたのではないかと考えています。それが結果としてのバット殴打になったものと推測しています。もっと発達障害も含む児童の特性把握やその対策を早く起こしていれば,事件を防げた可能性は高いと考えています。

②業務指示の不徹底
 事件に使われたバットについて,この日のミーティングで,外遊びでは使わないことを確認していたはずです。それにも関わらず,無責任にこれを倉庫から出させた職員がいました。ボランティア的に関与している職員で、そうした行動を取る者がいることを事件前に娘から聞いていましたが,それが凶行の要因になるとは思いませんでした。しかも,この職員が犯行直前まで現場を見ていたことを娘は記憶していますが,加害児童の行動を止める行動はなかったようです。重要な存在にも関わらず,1カ月遅れて始まった捜査には現れません。児童館作成資料には,事件現場にいた「大人は被害者だけ」とあえて明記されていることを考えると,隠されたものと推測しています。もちろん指定管理者は否定するでしょう。なお,この件については児童館作成資料にも「グラウンドで使用すべき道具が児童館前で子どもの手にわたってしまったことも問題として認識している」とあります。いずれにしても,職員間で統一されるべき行動が徹底されていないことが凶行の要因の一つになっていることを,職場管理の問題として考えるべきだと思います。

③児童館の不穏な雰囲気
 事件の直接の加害者は小2男児ですが,これをけしかける上級生(5年男児)がいたことも見逃せません。ボールを持っていた上級生は,大声で小2男児をそそのかし,それが暴力行動を引き出しています。1カ月遅れて始まった触法調査では,この上級生の行動について少年法に伴う措置を必要とするところまでの証拠集めはできなかったようです。しかし,児童館の日常活動の中に,「健全育成」を進める上での課題となるような問題行動が日常化していた可能性が高いと考えています。このことに関しては,市役所も指定管理者側も全く触れていません。あえて無視したのか,そこまで調べなかったか。記者会見資料に,事件時の登録児童数が88名だったものが,記者会見の12月には82名に減っていることが記載されています。事件を含む児童館の雰囲気が影響したのではないかと推測しています。