娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

2021-01-01から1年間の記事一覧

脳損傷がなかなか認められないのは

労災に関連する記載を続けます。娘が事件後受けた治療に関連して,頭をバットで殴られたことによる受傷,中でも脳振盪後遺症に関連する治療を労災が認めないことに対する疑問は納得いかないままにあります。これまでも何度か脳振盪後遺症に触れてきましたが…

労基署の対応を振り返って考える

前回,娘の労災に関する「決定書」の記載に,労災医員の恣意的な記載があることを記し,それが労基署担当や労災協力者の事件に対する認識を象徴するものとしました。そこで改めて,労災担当者である労基署の対応について振り返ってみたいと思います。 労災関…

なぜ「軽微な頭部打撲」なのか

娘の事件に伴う労働者災害補償保険,いわゆる労災に関連する内容が不利な方向に動いていることについて,これまでもチラチラ記してきています。これに関連する「決定書」なる資料が,A4版100ページほど,目次だけでも7ページあります。医師による小難しい…

医者と向き合う中で

小2男児にバットで頭を殴られた娘の,その後の治療経過でのことを記します。頭に衝撃を加えられた場合,目に見えない脳の機能不調が何らかの形で体に影響を及ぼすものと私は考えていました。その後の娘の体調と関連する診療状況を見ていると,その考えはあ…

「預かる」と「育てる」の間

娘の事件現場が学童保育であったこともあり,事件以来,子供が集まる施設や制度,いじめなどの問題に対する関心を持つようになりました。そうした関心からの話です。 今年7月,福岡県中間市の保育園で,登園バスの中に取り残された5歳の男の子が熱中症で死…

事件の原因は野球の禁止なのか

加害児童に関する曲げられた説明を考える中で(「加害児童への対応も矮小化されている」),この事件の要因とされた「野球ができない」問題についても改めて振り返っておきたくなりました。いつもどおり,児童館で作成した資料の関連記載を拾っておきます。①…

加害児童への対応も矮小化されている

ここ数回,娘の事件現場がどのように記されているかを再確認してきました。事件現場がどのようにねじ曲げられているのか(「改めて事件現場を考える」,「やはり『うずくまる』は作為だった」),被害者である娘への不適切な対応(「記憶消失の間にあったこ…

記憶消失の間にあったこと

娘の事件現場について,事実をすり替えていたことを記したとおり(「やはり『うずくまる』は作為だった」),事件は出発点から故意に歪められています。今回は,事件の日が終わるまでについて振り返っておきます。 事件2カ月後の2017年7月,児童館指定管理…

やはり「うずくまる」は作為だった

前回,娘の事件現場の真実が偽られていることを記しました。バットで頭を横から殴られた人間が,「倒れ」ずに「しゃがむ」動きをするのは無理があるのではないか,と(「改めて事件現場を考える」)。この考察の根拠とした資料は,児童館長が作成して事件2…

改めて事件現場を考える

バットで頭を殴られたにも関わらず救急車を呼んでもらえなかった。それが娘の事件に対する疑問の始まりといえます。ヘルメットがあるのは頭を衝撃から守るためと学習しているので,頭に衝撃を受けた人には慎重にという考えを持っているからです。これまで何…

脳振盪って軽くないんです

娘が現在も治療を続けている脳振盪後遺症に関連して先月,患者の治療の大変に対する認知が低いことを記しました(『なかなか知られにくい脳損傷』)。脳振盪の重さに対する知識が普及していないことを憂慮する気持ちからのものです。 私がこの問題を考えるよ…

ホームランで隠された暴力

世上騒がれている事件に便乗する形になりますが,プロ野球・中田翔選手の暴力事件の,その後があまりにもずさんに感じるので触れておきます。 経緯を簡単に整理しておきます。プロ野球・日本ハムファイターズの中田翔選手は,8月4日に函館で行われたDeN…

なかなか知られにくい脳損傷

私はこのブログで,事件発生時になぜ救急車が呼ばれなかったのかをずっと問題視してきました。野球のバットで頭部を殴られて気を失う。単純に考えれば脳の損傷による緊急対応が考えられたはずです。しかし現場の児童館長は,問いかけに返答できていたから普…

形だけの謝罪で済ませてはならない

いろいろとトラブルが続きながらも,やっと開幕にたどり着いた東京五輪。その目前でまたもスキャンダルが発覚して開催意義はさらに薄められたように感じています。開会式に起用されたミュージシャン・小山田圭吾氏の一件です。暴力を考えるうえで見逃せない…

暴力は再生産される

前回は,身近なスポーツの現場における指導者の資質によって暴力的な環境が生まれていく状況について記しました。生活の身近なところで起こる暴力について考えているわけですが,今回は本の情報ですが,地域社会にもたらされた暴力的な経験が次の暴力につな…

暴力が生まれる場面

このブログでは,身近なところで起きている暴力についても取り上げています。情報源は主に新聞ですが,その情報の中で学校でのいじめとスポーツ指導者問題が比較的多いように感じています。今回はスポーツ関連で,ごく普通の少年スポーツの現場での話です。 …

脳振盪,知らない振り?

先日,朝日新聞が「ヘディングの危険」と題する3回連載をしました。サッカーのヘディング反復が子供の脳に悪影響を与える可能性があるとして,日本サッカー協会がヘディング練習のガイドラインを発表したことを受けてのものでした。 ヘディングの危険性に対…

トヨタのパワハラ和解で考えたこと

前回掲載予定の6月4日はできませんでした。プライベートイベント発生でゆるりと考える時間を失ってしまったからですが,我が筆力の無さを露呈してしまいました。スミマセン。 さて先週,「パワハラ自殺、トヨタと遺族和解」との記事を見て,さまざまに考え…

不誠実と向き合い続けて

2017年5月24日午後4時頃,神戸市松原児童館前の路上。児童館職員として他の児童に注意を与えていた娘は,小学2年男児に背後からバットで後頭部を殴打されました。その場に昏倒した娘は,近くにいた通行人の女性が叫びながら近寄って来る姿を朦朧とした意…

指定管理者と施設設置者の役割分担は

それにしても,神戸市はなぜ被害者を忌避してきたのでしょう。被害者と会わない理由について,「指定管理者」が行うべきことだからとしてきました。市に入る情報が指定管理者の情報のみであれば,その理由も妥当なところでしょう。ところが指定管理者と異な…

神戸市の回答に見える担当のずるさ(2)

前回は2018年5・6月に行った神戸市長宛の質問状に対する神戸市児童館担当(こども青少年課)の回答について,その回答文から見える市担当者の不誠実を記しました。このやり取りは,年を越えて翌2019年3月にも行いましたので(「質問状,出してきました」…

神戸市の回答に見える担当のずるさ(1)

前回・前々回紹介した2018年3月22日市会常任委員会から6日後の28日,弁護士を交えての相談が行われていることを情報公開で知りました。当然中身は隠されていますが,1時間半ほど打ち合わせです。これ以前にそうした会議・打合せの資料はほかにありません…

神戸市担当への不信感

前回は,娘の事件が神戸市役所の中では現場担当レベルの裁量で済ませられる扱いにされていた=軽い扱いの事件にされていたことを神戸市会の委員会質疑から確認しました。神戸市が大きな視野での判断を見せず,事件を矮小化した指定管理者の陰に隠れたような…

公の場での神戸市の見解(2)

前回(「公の場での神戸市の見解(1)」)は,2018年3月22日の神戸市会文教こども委員会での問答の概略を記しましたが,その答弁をどう考えるか。私はこの委員会(現在は「教育こども委員会」)の質疑応答を神戸市会のネット配信で見ました。答弁を行う部…

公の場での神戸市の見解(1)

2017年12月19日の新聞報道に続いて公の場で娘の事件が語られたのは,神戸市会の常任委員会でした。18年3月22日に行われた文教こども委員会で,20分弱の質疑が行われました。質問したのは小林るみ子議員。いじめ問題に取り組んでいる人の紹介で娘に会い,事…

記者会見で強調された言葉の軽さ

神戸市が被害者に向き合ってこなかった疑問について,今回も記者会見で出された言葉から考えてみます。 事件から7カ月近く経過した2017年12月19日の新聞報道でしたがその2日後,神戸市内の全児童館や関係者に対し,「放課後児童クラブ(学童保育)での職員…

被害者への神戸市の向き合い方

娘の事件は神戸市の児童館で起こったわけですが,施設設置者である神戸市から被害者である娘に問い合せなり確認はありませんでした。児童館(指定管理者)が雇用した職員だから,ということまでは理解できます。そこを含んだ報告が市になされているわけです…

被害者の視点も大事な情報

今月前半で社会的関心を集めたのは,東京五輪組織委の会長交代ではなかったかと思います。新型コロナウイルス禍,緊急事態宣言地域が残る中で新聞一面を飾る日が続きました。前会長の女性蔑視発言は国際的話題になり,これを引き継ぐ新会長に女性が起用され…

ご飯論法という「ずるさ」

この1年,私たちの住む社会というか世界は,新型コロナウイルスという禍に覆われ,今もその最中にあります。こうしたご時世の中では移動もままならないので,離れている娘と顔を合わせての会話は望むべくもなく,これまでを振り返ることが多くなります。昨…

被害者は社会的弱者のままにある

先月末,犯罪被害者の支援が進んでいないとする報道がありました。具体的には,犯罪被害者への見舞金を支給する制度を犯罪被害者等支援条例などで定めている全国約300の自治体のうち,2019年度に制度を一度も活用せずに支給がなかった自治体が,少なくとも12…