娘をバットで殴られて

2017年5月24日,神戸市松原児童館で小2男児が職員を背後からバットで殴る事件が起きました。その職員は私の娘です。事件についてのあれこれ,世に伝えられる暴力などについて考えたあれこれを記しています。私の名前は,久保田昌加(仮名)。

2018-01-01から1年間の記事一覧

「松原児童館バット殴打事件」ダイジェスト

年が変わります。これまで3カ月ブログに掲載してきた内容を全部読んでいただくには,少し量が有りすぎるかもしれません。ということで,改めて事件経過をダイジェストにしてみました。 事件は,神戸市立松原児童館前の路上で,2017年5月24日午後4時に発生…

事件報道から1年,次に向けて

2017年12月19日,「神戸市立松原児童館バット殴打事件」が初めて報道されました。事件から7カ月近く経過してからのことでしたが,それから1年経ちました。この報道は,被害者家族にとっては,事件の大きな転機にあたる出来事でしたので,そのあたりのこと…

クロ現もAERAも取り上げた!!

入院中の娘に,「お前の頭は父親譲りの石頭。爺さん代々の石頭だから死なずに済んだ」と話したことがあります。もちろん励ましのつもりで話したし,最悪の事態にならなかったことが嬉しかったからの冗談だし,娘もその言葉を笑いながら受けてくれました。し…

犯罪被害者という社会的弱者

郷里での落ち着いた療養を終えて神戸に帰った娘は,暴力によって奪われた生活を取り戻そうとしますが,厳しい現実が待っていました。まず,身体が抱えた不調を診療・治療することが優先される生活になりました。当初から聴こえにくい状態になった右耳は,一…

世間では救急車を呼ぶのが常識!

娘はバットで頭を殴られたにも関わらず,救急車を読んでもらえなかった顛末は以前記していますが(10/09『呼ばれなかった救急車』),私は指定管理者の対処は間違っている,救急車を呼ぶのが常識だろうという気持ちをずっと持っています。神戸市役所や指定管…

凶器のバットは「やわらかい」のか

事件が娘にもたらしたもの,その大きな一つは身体的な負担になると考えています。具体的な症状については,以前記していますのでそちらをご覧ください(10/05『被害者である娘の症状』)。頭部外傷,つまり脳への衝撃を受けたので,身体各所に不具合が現れて…

神戸市の「検証」を検証する

今年3月の神戸市会常任委員会の質疑の中で,娘が被害者となった松原児童館バット殴打事件に関する質問が出ました。市会で取り上げられるのは初めてでした。市側は予想していなかったのか,それとも資料が十分でなかったのかはわかりませんが,答弁に立った…

被害者を避ける神戸市

娘は事件翌日に郷里へ帰り,入院を含む治療に入りました。頭部外傷という後遺症の危険が高い状況におかれ,事件直後から片耳がほとんど聴こえなくなっている娘の状態を考えると,この負傷は決して小さいものではないと思っていました。しかし,指定管理者か…

事態は矮小化されている

前回(11/07『改めて事件の要因を考える』),事件の要因について私の考えを記しました。被害者が苦しめられてきたのは,事件後の関係者の対応にもあることを説明したつもりです。そこで,神戸市が指定管理者の情報にだけに依拠して発表を行なった12月までの…

改めて事件の要因を考える

2017年5月24日の事件現場については,何度かこのブログに記してきました(10/05『考えられる事件の要因』,10/10『神戸市や指定管理者が考えた事件現場』)。しかし,被害者の述べる現場と神戸市・指定管理者が述べる現場には違いがあります。小2児童が職…

児童はなぜ野放しにされたのか

今回も事件現場での対応に関して振り返ってみます。神戸市は,事件後の指定管理者の対応を「適切」としてきました。「適切」とするその対応への疑問は,被害者に対するものだけではありません。10/27『コトの重さをいつ意識した?』でも触れましたが,加害児…

それでも現場対応は「適切」といえるのか

改めて事件現場にを振り返ってみます。事件直後の指定管理者の対応,具体的には頭部をバットで殴られた被害者の扱いを神戸市がどう評価しているのか,ということについてです。 まず,被害者から神戸市への質問と,これに対する回答をことから始めます。質問…

加害者が少年であることとは

加害少年は事件時に小2でした。少年法が定める14歳未満なので「触法少年」となり,警察が触法行為を確認して児童相談所に通告しました。児童相談所で定期的な指導を受けていることと思います。それでも彼は,それ以外に関しては事件前と変わらぬ家庭生活を…

被害者をどう考えているんだ

およそ平穏な暮らしの中を暮らしてきた私は,身近に犯罪に伴う加害者や被害者と接する機会を持つことはこれまでありませんでした。もちろん,娘を加害者になるように育て方たつもりはないし,被害者になることすら考えていませんでした。 事件は突然襲ってき…

親は何考えているんだ

人を傷つける,それも故意に行うというのは犯罪です。犯罪の加害者が家族から出ると、加害者に代わって行動しなければならない部分もあるはずです。その場合,加害者家族は被害者に対する謝罪行為はもちろん,失わせた損害に対する責任が生じると考えるのが…

コトの重さをいつ意識した?

娘を殴った児童は明らかに少年法にもとづく法的措置が必要,と私は考えていました。しかし,児童館は加害児童保護者を呼び,「出入り禁止」を言い渡します。次の事件を起こす前に保護する必要があったと考えますが,世間に放逐してしまいます。児童館として…

まともに答えず報道のせいに

今年5月に神戸市長宛に提出した質問状への回答が,質問に適正に答えたものではないことについては,10/18『神戸市 被害者の取り扱い方』にも記しました。ここではその具体例をもとに話しを進めます。 「発達障害の発表について」という質問に対する回答です…

市は指定管理者の広報係?

2017年5月の児童館での事件後,神戸市役所から被害者に対する連絡や接触は全くありませんでした。公の立場に対する期待感もありましたが,何の接触も無いまま12月の神戸市記者会見を迎え,ここで神戸市が敵対的存在であることがわかりました。事件を自ら調…

聞いた話ですが

これまでブログで書いてきた内容は,指定管理者や神戸市との対応の中で入手した資料にもとづいていますので,資料を見ながら考えて書いたつもりです。しかし,事件以降それなりの時間が経過していますので,そうした中で単に誰かの話として聞いた話もそれな…

事件と事故にこだわる理由

なぜ事故にしておきたいのか 「事件と事故」に関する話を続けます。神戸市の「事件と事故」に関する認識について整理しておきます。まず参考としたのは,12月19日の記者会見の補足資料です。児童相談所への通告に関して「通告は警察が行ったものなので不明。…

事件なのか事故なのか

娘が事件に遭い,郷里での療養を選択して帰郷している頃,指定管理者から労災関係の書類が送られてきました。その文書の中に「この度の事故は、業務上の不意の事故であり」と表記されていることに違和感を覚えました。子供とは言え,明らかに暴力を振るった…

神戸市 被害者の取扱い方

文書のやりとりで見えた市職員の姿勢 私と娘は,児童館の施設設置者である神戸市の対応に対して,当初から疑問を感じ続けてきましたが,記者会見や市会常任委員会での質疑を通してその疑問はさらに膨らんでいきました。そこで,平成30年5月に2度,神戸市長…

人と向き合う仕事と暴力

私が指定管理者の対応に疑問を覚える背景について,記しておきます。 娘には,福祉の現場で働く友人が多数いるようで,そうした福祉の現場では,利用者による職員への殴る・蹴るは珍しいことではないという話をよく耳にすると言います。教育の世界でも同様な…

見舞金も出さないんだ

娘に関する労災保険の事務一切は,児童館の指定管理者が行っていました。指定管理者の担当を通して労働基準監督署に提出することを求められていましたし,私ども家族も初めて経験なので,その意に従っていました。 しかし,この労災関係の手続の迅速性には当…

「加配」という措置

神戸市記者会見が明らかにしたこと⑥ 発達障害同様,記者会見の資料には出てこないにも関わらず,事件の再発防止に関連する内容が翌日の新聞に報じられています。それが「加配」です。 この「加配」のことを報じた記事は翌日の神戸新聞にはありましたが,他の…

「発達障害だから暴力」という発表

神戸市記者会見が明らかにしたこと⑤ 12月19日に行われた神戸市の記者会見では,児童が「発達障害だから」暴力を振るった要因になったような発言がされました。この日夕方のテレビニュースで,課長が笑いがちに説明している場面を私も録画で見ました。暴力を…

方向転換できなかった神戸市役所

神戸市記者会見が明らかにしたこと④ 前回,児童館指定管理者と神戸市の間でどのように「事故」現場を確認していったのかを記しました。彼らの検討の中では,明確な暴力行為を行なった少年や,既に片耳が聴こえにくくなっている被害者のことを慎重に考えるこ…

「事故」現場はどのようにできたのか

神戸市記者会見が明らかにしたこと③ では,被害者とは異なる神戸市役所や指定管理者の現場はどのように作られたのか。 神戸市役所の見解について,3月市会常任委員会で市部長は「検証しました」と答弁しています。検証した結果が,12月記者会見の発表内容と…

神戸市や指定管理者が考えた事件現場

神戸市記者会見が明らかにしたこと② まず,神戸市役所や指定管理者が,どのように事件現場を捉えているかについても触れておきたいと思います。被害者が指定管理者と事件情報をやり取りする時間はほとんどありませんでしたし,神戸市役所には一度も会えずに…

神戸市役所って,敵だったんだ

神戸市記者会見が明らかにしたこと① 2017年5月24日の事件以降,娘はさまざまな方々の支援を受けながら,辛い状況からの立ち直りに向けて頑張っていました。しかし,やりきれない憤りや苦しさに苛まれることも少なくありませんでした。子どもを相手にする業…